top of page
ふわふわ白い雲

2024年度の展望

   「VUCAの時代」

 2024年は能登半島で大きな地震が発生し、大きな被害をもたらした大災害から始まりました。新型コロナもそろそろ終焉を迎え、元の生活に戻れるのではないかとの明るい日常生活を夢見ていた矢先の出来事で、これほどまで大きな被害になるとは想像だにしなかったと思います。被災により亡くなられた方々に、お悔やみ申し上げるとともに、被災者の全ての方々にお見舞いを申し上げ、一日も早い復興と、元の生活に戻れる日が一日も早く訪れることを、心よりお祈り申し上げます。

 昨年度の流行語大賞にも「世界沸騰」なる言葉があったように、世界中で台風(竜巻を含む)、洪水、高温、低温、干ばつ、大火事、噴火等の「異常気象」や「自然災害」が起こり苦しんでいる人が大勢います。さらに「戦争不安」、ロシアのウクライナ侵攻も早2年を経過しても収まらず、イスラエル・パレスチナ紛争も収まる気配が有りません。この戦争不安は世界中を巻き込んでも、解決策が有りません。その影響は計り知れなく、経済や日常生活にまでも悪影響を及ぼしています。更に日本にとって経済的に打撃を受けているのが、「円安」という特筆すべき状態です。ここ数年日本にとって悲惨な出来事が、多くのしかかっています。

 今まで括弧書きで示してきた「異常気象」、「自然災害」、「戦争不安」、「円安」は、同時に引き起こった「日本国災害」のような感じがします。まさに安心・安全な日常生活に終止符を打たれたような、行先の見えない社会が訪れようとしています。

 これからの社会を象徴するような言葉に「VUCA」があり、専門家はこれからの社会を「VUCAの時代」と呼んでいます。では、VUCAとは何でしょう。日本語で表すと「ブーカ」だそうです。4つの言葉の頭文字を集めたものだと想像できますが、皆さんはご存じでしたか?それは「Volatility:変動性」、「Uncertainty:不確実性」、「Complexity:複雑性」、「Ambiguity:曖昧性」という4つの言葉の頭文字をとった造語です。1990年代アメリカとロシアの冷戦以降に軍事用語として使われ始めたそうですが、2010年頃より経済界でも使われ始め、人材育成やマネジメントでも使用されるようになったとの事です。近年、感染症の世界的流行、突発的な水害や地震といった自然災害、IT技術の進化による産業構造など、世界の構造がドラスティックに変化を起こしています。

 それでは4つの単語について説明してみます。

  • Volatility(変動性)

近年のITテクノロジーの進化は激しく、それに伴う新しい事業や価値、ビジネスチャンスが生まれています。具体的な例が、最近流行った感染症の影響で、オンラインミーティングやリモートワークがここ数年で登場し、瞬く間に浸透していったことです。変動性とは価値観や社会情勢の変化、テクノロジーの進化等によって、予測できないほどの大きな変化が起き得る事を意味しているそうです。

2)Uncertainty(不確実性)

年功序列や終身雇用が崩壊し、能力主義や成果主義への移行が進んでいる昨今、一部企業では副業禁止となったり、自由な働き方が浸透してきていて、これまでの常識が過去のものとなり、変化に柔軟に対応できるか否かが企業にとっても重要な課題となってきている。このように不確実性とは、将来の見通しを立てることが難しい状況を意味しているようです。

  • Complexity(複雑性)

夫々の国によって法律や文化が異なり、日本で成功した事例が海外で通用するとは限らず、その逆も有りえます。また他国のインフレが日本に影響を及ぼす事態も発生しています。複雑性とは、経済活動を中心としたグローバル化によって、地球規模で起こる課題が顕在化・複雑化していることを意味しているようです。

  • Ambiguity(曖昧性)

紙媒体や印鑑を必要としていた商取引でもオンライン化が進み、時間効率や作業効率を格段に向上させた事等が今までの常識が覆され、あらゆる事柄に「確実な最適解」が無い状態が通常となっている。曖昧性とは、これまでの常識が通じない状態で、問題に対する絶対的な答えが無く、解釈の可能性が複数あることを意味しているようです。

(RECRUIT AGENT「VUCAとは?今の時代に必要なスキルとリーダーとは」より引用)

 日本企業においても終身雇用や年功序列の崩壊等が起き、不確実で複雑、不透明で曖昧な社会情勢が、まさに「VUCA時代」といえます。このような時代に対応し、求められる企業になるためには、何が必要かを明確にすることが重要になっているようです。本当に難しい世の中になってきたように思います。このような変化を敏感に感じ取りながら、企業の方向性を見つめ直すことが必要なのかもしれませんね。

 我々千鳥会もそのことを踏まえ、不確実で不安定で曖昧でありながらも多様性に富み、且つ柔軟性を持ち、適切な企業風土を保ちながら着実に成長していきたいと思います。どうかよろしくお願い申し上げます。

              2024年4月1日

                                        社会福祉法人千鳥会

                                        理事長 吉村 秀樹                                       

IMG_3270.JPG
bottom of page